6月29日、Evernote値上げのアナウンスがありました。無料のベーシックプランはそのまま残るものの、同期できる端末が2台までに制限。プラスプランは月額240円(年額2,000円)が月額360円(年額3,100円)に。プレミアムプランは月額450円(年額4,000円)が月額600円(年額5,200円)に。大幅値上げです。
わたしは現時点ではライトな使い方しかしてないので無料プランでの利用なのですが、それでも同期できる端末が2台までになってしまうのは少々痛いです。パソコン(Mac、Windows)はWeb版が使えるとしても、タブレットを2台持っているので。
それに、これまでに何度か「プラスプランにだったらアップグレードしてもいいかなぁ」と検討したことがあったのですが、今回の値上げはその思いを挫くのに十分でした。2,000円が3,100円ですからね~。貧乏人なわたしとしては、とたんに躊躇する気持ちが大きくなってしまいます。
でもこれも仕方がない。従来の無料プランは「それでいいの?」と思ってしまうほどしっかり使い込める内容だったし、何はともあれ無料版は残ったのだから。プラスプランやプレミアムプランの値上げ幅は随分大きいなとは思うけど、Evernoteの存続が危うくなってしまうようでは元も子もないですもんね。
無料で使えるOneNote最新版
とは言うものの……わたしも多くの人が多分試みたように、別のノートアプリへの移行を考えました。乗り換え先の第一候補はずっと気になっていたOneNote。この機会に試してみるしかないですね。
OneNoteはMicrosoft Officeに同梱されていますが、最近はOneNoteのみをMicrosoftの公式サイトから無料でダウンロードできるようになっています。わたしの使っているOfficeは2010なので、せっかくなら最新版を試そうということで、2016をダウンロードしてみました。
OneNote最新版はこちらからダウンロードできます。
Microsoftもさすが抜かりがないようで、EvernoteからOneNoteへの移行ツールを公式で用意しています。
上記のページでご丁寧に”OneNote側から見た”Evernoteとの違いがまとめられています。あくまでもOneNoteのメリットだけが書かれていることを念頭に置く必要があるけれど、乗り換えを検討する際の参考にはなります。
OneNoteのデータはOneDriveに置かれる
さて、お試しするにあたって、わたしにはちょっと引っかかる点がありました。
OneNote自体は確かに無料で使えるんですが、無料版はデータをOneDriveに保存するという縛りがあるんです。
OneDriveはなかなか優秀なオンラインストレージで、Microsoft製品の中ではわたしは多分一番好き。総合的にはDropboxに譲るとしても、Googleドライブと比べれば随分使いやすいと個人的には思います。
OneDriveは無料で5GBまで使用できるので、これで足りるのなら全然問題はないんでしょう。Office365を利用される方は1TBまでOneDriveが使えるので、こちらだとなおさら容量は気にしなくて良さそう。
でもわたしの場合、OneDriveは無料で30GBまで容量を増やした状態でどっぷり使っていて、2016年8月のプラン縮小にあたって何とかファイルを4GBまで削った状態だったので、そもそも空き容量が少ないんです。
そんな心配はあったものの、それはまず使い勝手を試してからの話。
OneDriveの容量は月額170円で50GBまで増やすことができるわけだから、もしOneNoteが気に入ったらそのときに考えよう。
……というわけで、とりあえずOneNoteをインストールして、実際に触ってみることにしました。
OneNoteの方がすぐれていると感じた点
EvernoteもOneNoteもある程度似たようなことができるのだと思います。
ただ違うのは、ノートのまとめ方や階層の作り方? EvernoteにあるタグはOneNoteにはありません。ここが引っかかるところなのですが、その代わりにOneNoteはフォルダーを作成してその中にノートを作る仕様になっています。
慣れるまでは戸惑うだろうし、移行に際してのタグの扱いが心配になるところだけど、システム自体は慣れればわかりやすいのではないかと思いました。
しかしそれよりも、わたしがいいなと思ったのは「スキンがある」というとても単純なことでした。
鍵付きブログの代わりにノートアプリを使う
このブログでも散々書いてきたのですが、わたしは過去に書いたものを収納しておく場所をずっと探してきました。
常に第一候補として上がっていたのはレンタルの鍵付きブログ。他の候補としては日記ソフト(アプリ)や鍵付きWiki、メーラーの利用なども考えてきました。
で、セキュリティとインポートのしやすさ、カスタマイズ性の良さなどを考え合わせて結局落ち着いたのが、InstantWPを使ってローカルで展開するWordPress。
InstantWPはかなりのお気に入りでしたが、一点だけ、同期させて複数の端末から記事を見るということはできない点に不満がありました。InstantWPをUSBメモリや外付けHDDなどに入れたら他のWindowsパソコンで記事を見ることはできるけれど、他の端末、例えばMacとかAndroidのタブレットでは見られないんですね。最初は1台のパソコン内で使用する日記ソフトでも充分だったのに、段々と贅沢になるもんです。
そこで考えたのがInstantWPからEvernoteへの移行です。
Evernoteならデータはネット上に置くわけだから、他の端末からでも記事を見られるうえに少なくともブログよりはセキュリティは保たれる(と思う)。とは言えWorePressからの一括インポートの手段があるわけでもなし、1記事1記事、全部取り込むのは大変だろうなぁと思っていたところの今回の値上げ騒動。無料プランだと同期できる端末も2台までになっちゃったし。
……まあ時間と手間をかけて移行してしまった後でなくて良かったとも言えるんですけどね。
OneNoteは見た目がキレイ!
WordPress(InstantWP)に代わってEvernoteにデータを置くとなったとき、まず考えてしまったのが実は「見た目が味気ない」ということでした。
自分の本当にやりたいことを考えれば、それって枝葉の部分なんだと思います。だからこそそこには目を瞑ってEvernoteを利用してたわけだけど、本音を言えばEvernoteの緑とグレーのコンビネーションに全く愛着はありませんでした。なんというか、お硬い感じがしてしまって。
単にメモとかデータを蓄積していくだけなら、多分あのシンプルさで十分なのかもしれません。でもねー、ノートアプリを使うって、それだけが目的ではないじゃないですか。
ジョルテなんかもそうだけど、多くの日記アプリには様々なデザインのスキンが用意されています。デザインが好みだと、アプリを使うのがもっと楽しくなります。
でもなぜかEvernoteって頑なまでにスキンがないんですよね。何なら有料プラン限定でも良かった。スキンが利用できたりデザインを手軽にカスタマイズできる機能がEvernoteにあったら、わたしはそれだけのために有料プランにアップグレードしてたかもしれません。いや、割とマジで。
で、OneNote。
数は少ないけれど、ちゃんとスキンがあるじゃないですか。ノートのデザインテンプレートも準備されてるし、カスタマイズも可能。カラーを変えたり背景を変えたりが手軽に楽しめる。
決して完全ではないけど、自分の過去ログを収納する場所として、ちょっと夢があっていいなと思いました。
OneNoteの欠点
しかし、OneNoteがいいなと思ったのはそこまで。
いくつかの点があって、OneNoteを使うのは難しいと感じてしまいました。
OneNoteは見た目がOffice
さっき「見た目がキレイ」と書いたばかりなんですが、もう手のひら返しますよ~。
見た目がOfficeでもあるんですよ、OneNote。ツールの部分ね。いや、Officeのソフトのひとつなんだから当たり前なんですけどね。
ノート自体は綺麗に見せられるんだけど、Officeそのものすぎる部分があってなんか萎える……。
このツール部分、表示を隠せるので我慢できる範囲ではあるんですが。
OneNoteは重かった
そして一番の欠点はこれです。動作が重い。
わたしが今回試したのは最も完成度が高いと言われるWindows版だけだったのですが、それでも重いと感じました。
いえ、使えないほどでは決してないんですが、いちいち動きがもっさりしてるんです。で、ごくたまに「フリーズした?」と思うことも……。
で、重いのはOneNote本体だけじゃなくて、クリップ用のツールはさらにそう。Evernote用のツールと比べると、優に3倍は時間がかかってしまいます。ツール自体の選択肢もあまりないし。
わたしの過去ログ、4,600記事ほどあるんで、それらを全部クリップしていくことを考えたら気が遠くなりました。Evernoteですらしんどいだろうなと思ってなかなか手を出せないでいるのに……。
日付の変更が面倒
わたしの中で「OneNoteを使うのは厳しい」という決定打になったのが、実はこれ、日付の変更が面倒ってことでした。
過去ログをクリップしたら、記事の作成日を執筆した当時の日付に修正する必要があります。Evernoteだと日付部分にそのまま数字を打ち込めば修正完了なんですが、OneNoteではどうもそれができなさそう。いちいちカレンダーを出して、日付を選択しないといけないみたいなんです。
で、その月のカレンダーを出すのがとんでもなく面倒くさい。1年前なら12回左側に送って遡る。2年なら24回。10年なら……。
これ、4,600記事全てでやります。はい、無理。
似て非なるEvernoteとOneNote
この記事書いてて自分でもなんだか目眩がしてきました。4,600記事って1日50記事ずつ毎日作業しても3ヶ月かぁ。もうアホだな。OneNoteは論外だけど、Evernoteに全ログ移行なんてできるんかいな。
この先もしも、Evernoteを捨ててOneNoteに移行することがあるとしたら、それはOneNoteがMTファイルやWordPressのファイルを読み込む機能を装備したときでしょうね。まあそういう日は来なさそうですが。
まあ今回わたしがOneNoteを諦めた理由は割とニッチな部分で、一般的な使い方をするにはほとんど関係のないことなのかもしれません。EvernoteからOneNoteへの移行そのものは、きっとそれほど大変なことではないんでしょう。
ただ使い勝手の部分では多分かなり合う合わないがありそうだし、今回のわたしみたいに用途によっては致命的な部分もありそう。重さについては環境による部分もあるとはいえ、軽くて悪いことはひとつもないのだから、可能であればぜひ改善して欲しいですね。
もちろんたった数時間触っただけでOneNoteの本当の良さはわかるべくもないけど、EvernoteとOneNoteは似て非なるものということだけは今回のことでよくわかった気がします。
EvernoteからOneNoteに移行を検討する人は多いとしても、いざOneNoteを触ってみて果たしてどのくらいの人がOneNote派に転向するのでしょう。ノートアプリのさらなる進化を期待しつつ、事態の推移を見守りたいと思います。