このたび12年半にわたって利用していたEvernoteからUpNoteへの移行が完了しましたので、引っ越しにあたっての感想などを述べてみたいと思います。
またUpNoteに移行後、直感的にわかりにくいと感じたテキストの置換方法、表(テーブル)の作り方、隠したノートを表示させる方法などもメモしておきます。
ノートアプリに求めること
移行先となるノートアプリの選択は、「どれが優れているか」というよりも「どれが自分の利用方法に合っているか」が大きなポイントになってきます。
わたしの場合、ノートアプリに求めるのは主に自作のテキスト書類の収納で、その他音声・動画・PDFファイルの保存と他サイトのクリップが少々といった具合です。そして複数端末(現状はWindows、iOS、Android)での同期利用が必須です。
この条件を満たすものとして、これまでEvernoteのPersonalプランを利用してきました。
さて、わたしが移行先として検討したのは以下の3つのアプリです。
・OneNote
・Notion
・UpNote
OneNoteについては当記事最終章にもあるようにこれまでにも検討した経歴があるのですが、「どうしても馴染めない」という、これ以上どうしようもない理由で今回も早々と脱落。
そしてかなり迷ったのが、何でもできちゃいそうなNotionだったのですが、
・テキストの行間など見た目を弄りにくい
・いろいろできてもノウハウを持たない自分には宝の持ち腐れ
の2つの理由から、結局はEvernoteに一番近い印象のあるUpNoteに落ち着きました。
UpNoteは以前に「使えそうだ」と思い、プレミアム版を買い切っていたので、経済面を考えてもこれ以上にない選択になりました。
EvernoteからUpNoteへの移行方法
さて実践。Windows版のEvernoteからUpNoteへと移行する方法です。Mac版も右クリックするところでコンテキストメニューを表示させれば恐らく同じことができるはずなので、読み替えていただけるとありがたいです。
【Evernoteで】
1.移行したいEvernoteのノートブックを右クリックし、enex形式でエクスポートする
【UpNoteで】
2.画面右上の歯車マークから設定を開き、「一般」を選択
3.下の方へスクロールし、「Evernoteからインポート」をクリック
4.インポート方法の設定で、
項目 | 設定方法 | 備考 |
ファイル名を選択 | インポートしたいenexファイルを選択 | |
ファイル名をノートブックとして使用 | インポートするのがノートブックなら右にスライド、単独のノートなら左のまま | |
Evernoteからタグを変換する | なし・ノートブック・ハッシュタグから選択 | タグで管理をしていた場合には「ハッシュタグ」で良いと思います。 |
テキストの色を保持する | デフォルトは左、文字色・背景色にこだわりがあるなら右にスライド | 白背景から黒背景にする場合、またその逆にする可能性がある場合には左のままが無難。 |
ノートブックに追加する | UpNote内の既存のノートブック下にインポートしたい場合には、そのノートブック名を指定 | 後で移動させることも可能。 |
5.「インポート」をクリック
同様の手順を繰り返して移行したいノートブックをUpNoteにインポートします。
インポート時の注意点
インポートに失敗したノートがあればその名前を教えてくれる親切設計ですが、以下の点に注意が必要です。
時間がかかることがある
インポートするノートブックのノート件数が多いと、読み込みにそこそこ時間がかかります。場合によっては「フリーズした?」と思うこともありますが、大抵は大丈夫なので、じっと我慢して待ちましょう。
ファイルサイズに制限がある
インポートには「enexファイルの合計サイズは4GBまで」「添付ファイルは20MBまで」「ノートの文字数は300,000字まで」の制限があります。
ですが文字数については要注意で、日本語で300,000字までOKですという意味ではありません。日本語の文字は1字が2~3バイトになるものもありますので、だいたい120,000字がリミットになると考えがほうが良い模様です。
環境によっても違うでしょうが、120,000字+αのテキスト(ちょこちょこリンクあり)ファイルをインポートする際、他の端末との同期不可とのアラートが出たうえに自ら何度も同期を試みてフリーズしてしまったので、ギリギリサイズのノートははじめから分割しておくなど事前の対策をお勧めします。
UpNoteに移行して良かったところ
そんなこんなで7,700超のノートをUpNoteに移し替えた今、UpNoteにして良かったなぁと感じることをいくつか挙げてみましょう。
軽快な動作
現時点では重いと感じることは全くなく至って快調! これが一番良い点です。
違和感のないUI
見た目はEvernoteと大きく変わりませんので、違和感や何かを覚えないといけないプレッシャーがないのはとてもありがたいです。
また、「歯車⇒エディター」でフォントや文字の大きさ、行間などを好きに調節できるのもいいですね。わたしはテキストを中心に扱うので、フォントなどの見た目がしっくりこないとどうにも落ち着きません。
手書き入力で鉛筆が使える
そしてちょっと地味な点なのですが、手書き入力したときに「鉛筆」を選択できるのが嬉しいです。Evernoteでの手書き入力は書き味が今ひとつ好きになれなかったんですよね。
ちなみに手書きで入力した文字をテキストに変換してくれる機能もちゃんと備わっています。
PDFファイルはプレビュー可能
初期の頃、確かPDF書類はUpNote内で表示できないような話があったと思うので心配していましたが、見るのには問題がないレベルで表示できることに安心しました。
ただしOCRは使えません。この点に不満を覚える方は少なくないかもしれませんね。
物書きに便利な右サイドバー
右のサイドバーにノートの情報(作成日時・更新日時・同期日時)、単語・文字数、目次を表示できるのがとても嬉しいです。
特にわたしの使い方だと書類の作成日時がかなり重要になってくるのですが、Evernoteでは確認するだけで手間がかかるよう改悪されてしまっていたため、余計にありがたく感じてます。
なお、これらの情報は非表示にできますし、右サイドバー自体を表示させないことも可能です。
UpNoteのここがイマイチ
まだ数日使ってみただけのUpNoteですが、現時点での不満点、不安点も挙げておきましょう。
軽快な動作はいつまで続く?
現状はキビキビ動いてくれるUpNote。この軽快さがずっと続いてくれることを祈るばかりです。もちろん、ノートが多くなれば多くなるほど重くなる可能性は高まるわけなので、ユーザーの使い方次第とも言えるのですが……。
数多のアプリのように、どうか余計な機能を付け加えないでほしいと願っています。
Webクリップがやや不便
UpNoteも、公式サイトからブラウザに拡張機能を追加することでWebクリップを使うことが可能です。ただ、Evernoteのそれに比べると機能が少なく、動作も今ひとつ洗練されていない印象があります。
ページ全体というより恐らく必要なパートだけをクリップしたい方が多いと思うのですが、必要なところのみを選択した状態でクリップするという素朴な方法が採られています。
ひとまずは使えるものの、Evernoteのようにパートを選択したりタグを入れたりする機能があればもっと良いなと思います。
音声データが扱えない
これは「絶対にこの機能がほしい!」という話ではないのですが、音声での投稿ができたりアプリ内で音声ファイルを再生できたりする機能があったらちょっと嬉しいです(音声ファイルの再生については、現在は外部アプリの力を借りている状況です)。
ただ繰り返しになりますが、機能を付加することで重くなるようなら今のままでも構いません。
サポートに一抹の不安
Evernoteと比べると運営している企業の規模は小さいでしょうし、今後のサポートの面で一抹の不安があります。過大な期待をするつもりはないけれど、とにかく自分のメモが安全に保持できればありがたいですね。
UpNoteの使い方メモ
UpNoteの機能の中で、個人的に直感では使えず、戸惑ったものがいくつかありましたので、それをメモしておきます。
単語の置換
UpNoteには文字数のカウントや目次機能があり、テキストエディターの代替としても優秀だと思うのですが、単語を一括で置き換える方法がわからず戸惑いました。
置き換えの方法は以下の通りです。
1.上部バーの…マークをクリックし、「このノート内を検索」を選択、または「Alt+Ctrl+F」で検索ボックスを表示させます。
2.検索ボックス左の虫眼鏡マークをクリックして「置き換え」を選択。
3.変更したいワードを検索ボックスに入力し、その下のボックスに置き換えたいワードを入力。
4.「置き換え」をクリックすればひとつずつ、「すべて」をクリックすれば一括で変換が可能です。単にEnterキーならひとつずつ置き換える形になります。
表(テーブル)を作る [有料版機能]
上部バーの左端、◯つきの+マークをクリックするとメニューが開きますので、そこで「テーブルを挿入」から表のサイズを選択。行・列に合うものがなければカスタムを選びます。
もしくは「Ctrl+T」でも表を作れますね。こっちの方が簡単かもしれない。
サイドバーから隠したノートブックの再表示
一番左のサイドバーにはノートブックが並ぶのですが、ここに表示させたくないノートブックは、当該ノートブック名をマウスオーバーさせると右端に登場する「…」マークから「サイドバーから隠す」を選ぶことで、見えなくすることができます。
おお、これはなかなかに便利な機能!と喜んだのもつかの間、非表示にしたノートブックがどこに行ったのかわからず頭を抱える羽目になりましたw
ですが、隠したノートブックにアクセスする方法はわかってみればとても簡単で、左サイドバーの「ノートブック」の文字をクリックするだけ。メイン画面に全てのノートブック(一番上の階層)が表示されますので、その中に隠したノートブックも含まれているはずです。
さらに当該ノートブック名をクリックすれば、左サイドバーにも隠したノートブックが再表示されるようになります。
タグが消えた? [有料版機能]
移行作業の初日、インポートしたノートに付加していたタグがUpNoteに見当たらず、「インポートの際になにかミスした? それともタグの表示にバグがある?」と慌てたのですが、単にロック(鍵)をかけたノートブックのタグが表示されなくなっただけのことでしたw
ノートブックをパスワードで守れるのは大変ありがたい機能ですし、そのタグが見えなくなるのもよく考えれば当然の仕様なので、恥ずかしい限りです(騒がなくて良かった)。
今のところ、迷ったのはこれくらいかな……。また思いついたらここに追加していきます。
おまけ:Evernoteからの移行を決心した理由
最後に少し無駄話を。
12年以上も使い続けてきたEvernoteから他のアプリに移行しようと決めた理由は、
・値上がりした(9,300円/年)
・リニューアルしてから動作が重くなった
この2点に尽きます。
値上がりに関してはすでに2016年の時点で厳しいと感じていたうえに利用端末の台数制限ができたのが非常に痛く、こちらにOneNoteへの移行を試みた記事を書いていました。

当時はプラスプランでも年額2,000円だったんですね~。円高の影響が多少はあるかもしれないけれど、今と比べると夢のように安い!
で、さらなる値上がりで9,300円/年にまでなっていたわけですが、昨年4月の解約手続きの際に60%OFFのオファーを受けまして、「う~む、3,720円ならまあいいか……」と契約を更新し、今に至っていたのでした。
ちなみに今年の解約手続時にも値引きオファーはあったのですが、今回は40%OFFで……ゲンキンにも心を揺さぶられることはありませんでした(いや、仮に前回と同様の60%OFFでも解約したとは思いますが)。
動作の重さについても結構辛いものがありまして、例えばノートの情報を見ようとしても、ウィンドウが開くまで3~4秒かかるといった具合。
もちろんこれは利用する環境や蓄積されているノートブック、ノートの量によってもかなり違うと思うのですが、個人的にはちょっときついなあと思わざるを得ませんでした。
逆に言えばそれ以外の部分では概ねEvernoteを気に入っていたんです。評判がイマイチのようなホーム画面もわたしは結構好きでしたよ。
何はともあれEvernoteには、大きなトラブルもなく長いことお世話になって、感謝の気持ちしかありません。
コメント