ちょっと前までは日本には永遠に来ないんじゃないかと思っていた定額制音楽配信サービス。大本命のSpotifyは未だ上陸を果たしてないけれど、AppleやGoogleがサービスをスタート開始してはや1年前後が経過しました。
特徴はそれぞれだし、どれもこれも音質が素晴らしいというわけではないので、家庭のコンポに繋いでじっくり音楽鑑賞するのに堪えるのかどうかはわかりません。でも個人的には、仕事中や運転中、寝る前に軽く流したり、新しい音楽との出会いや既知の音楽との再会を楽しむにはなくてはならないサービスになっています。
音楽配信サービスの比較に関してはもういろんなところで語り尽くされていると思うので、今回はわたしがよく使っている(もしくは使ってみたことのある)音楽アプリの中からスマホでもパソコンでも使えて、なおかつステーション機能がいいなぁと思うものに絞ってまとめてみました。
ステーション(ラジオ)機能とは?
「ステーション」というのは特定のアーティストや曲を起点に、それと同じテイストの曲をエンドレスで流してくれる機能です。「ラジオ」と呼んでいるサービスもあります。
で、そのステーション機能。これを実際に使ってみるまでは、似た感じの曲ばかり流れるのってつまらないんじゃないかと思っていました。
iTunesにもGeniusっていう機能がありますよね。これも使ってみたことがあるんだけど、自分の好みにヒットする精度が今ひとつでなんか面白くない。自分の手持ちの曲のみに絞られるのにも関わらず……という状況だったので、それと同じなんじゃないかなと思ってたんです。
でもラジオをいざ使ってみると、これがなかなかいい! どの曲をおすすめしてくるのかはサービスごとに独自のものがあるんだろうけど、それぞれ意外性があるのにうまく自分の好みにヒットしてくるから面白い。まるで中の人がいるんじゃないかと思うほどで、好みに合えば合うほどアプリに親近感が湧いてきます。
この意外性の部分が既存のプレイリストを再生するのとは違う、一番楽しい部分なんですね。違う感じの曲が聴きたくなったら、起点になる曲やアーティストを変更すればいい。いやーほんと手間いらず。そんなこんなでこのステーション機能にすっかりハマってしまったわたしです。
もちろん自分の手持ちの曲を聴き倒すのもいいけど、新しい音楽との出会いを求めるのならステーション機能、ホントにおすすめですよ!
ステーション機能がある定額制音楽配信サービス
定額制音楽配信サービスの中からステーション機能があり、なおかつスマホでもパソコンでも聴けるものを集めてみました。
海外発で日本での正式サービスが始まっていないものは、正直言って日本の曲はあまり多くありません。でも海外でも人気のある日本のアーティストなら割とある感じかな。
AWA
登場した当初、好みのアーティストのあまりの少なさに利用を断念したAWA。でもこの記事を書くにあたって改めてチェックしてみたらデスクトップ版が登場しているじゃないの! 利用にはスマホ版のアカウントが必要なのが残念だけど、これはフリープランの利用やライトプランの曲スキップ機能に時間(回数)制限があるからかもしれませんね。
スマホ版はspotifyのパ……そっくりだったけど、デスクトップ版はspotifyより全然きれいでお洒落な雰囲気。ちょっと使用した限りではかなり使いやすいと感じました。
さっそく1ヶ月60分間使えるフリープランでラジオ機能の使い心地を試してみると、……おお、これフリープランでも320kbpsで聴けるんだ! 音の良さに感動。おすすめされる曲もまあまあいい感じ。ただ他サービスと比較して曲数が豊富とまではいかないので、好みの曲が配信されていないとちょっとつらいかな。
フリープランだと時間制限の他、プレイリストの作成ができなかったりアルバムの再生ができないなどの機能制限がありますが、ラジオだけの利用なら機能的には特に問題ないですね。でも1ヶ月60分はかなり短いので、もし気に入ったのなら時間制限を外せるライトプラン(月額360円)に移行せざるを得ないでしょうねー。
Google Play Music
現在わたしが有料で利用しているのがこれ、Google Play Musicです。Google Play Musicの一番のポイントは自分の手持ちの音楽ファイルを5万曲まで(今後さらに拡大される?)アップロードできること。無料利用だと聴けるのは自分がアップロードした曲のみで、有料利用だと自分のアップした曲とそれ以外の曲とをシームレスで聴くことができます。
アップしたファイルが(同じ曲の)別のファイルに置き換わる可能性があるので音楽ファイルのバックアップには向きません。が、ハードディスクが壊れて曲のファイルを全て失ってしまった!なんてことが避けられるのはありがたいですね。
Google Play Musicにもラジオ機能があります。無料プランだと「インスタントミックス」との表示で、アーティストや曲を起点に手持ちの曲からおすすめされるリストをエンドレスで聴けます。有料版だとそのまま「ラジオ」という表示で、サービス内の曲が聴けます。
この他、特定の曲を起点とするのではなく、音楽の好みから自動で作成される「I’m feeling lucky」もありますね。無料版でこの機能を使うと以前好きだった曲の再発見に役立ちます。アップロードする曲が多ければ多いほど楽しめるサービスなのかな?と思います。
個人的にはサービス開始からの利用で月780円(本来は980円)で契約しているため、他のサービスも使ってみたいけどやめるにやめられない状況です。でもほとんどのプラットフォームに対応しているのは便利だし、曲数もまあまあ多いので、十分元は取っていると思います。
Spotify
日本上陸の噂が立っては消えを繰り返しているSpotify(スポティファイ)。知る人ぞ知るスウェーデン発の定額制音楽配信サービスです。
Apple MusicやGoogle Play Musicと似たタイプのサービスだけど、ユーザー数はそれらを遙かに凌ぐ1億人以上を誇っています。その理由は恐らく、無料プランがあること?
無料プランは30分に1度くらいのペースでCMが入ること、高音質(320kbps)を選べないこと、スマホからだとアルバムの曲順がシャッフルになることなどの制限があるものの、音楽を聴くこと自体には制限はありません。もちろん時間制限も。これが他のサービスと大きく異なる点です。
しかしこの無料プランの存在が、日本上陸の妨げになっているのではとの噂もあるみたいですね。日本でサービスが始まった場合には、無料プランには利用時間の制限が設けられるとの話も。でもそれだとSpotifyの優位性が日本ではなくなってしまうし。果たしてどうなるんでしょう?
今のところ日本の曲はまだまだ少ないですが、サービス開始を視野に入れてかちょっとずつ増えていている印象。最近J-Popのプレイリストができたり日本ユーザー向けの謎CMが登場したり……。洋楽のラインナップに関してはもう申し分ありません。ラジオ機能もそもそも曲が多いので楽しいですね。
アプリの使い勝手も直感的にわかりやすく、とても良いと思います。Windows、Macは専用ソフトの他にブラウザでも聴取OK。もちろんAndroidにもiPhone、iPadにも対応しています。正式サポートはされていない模様ですが、Amazon Fireでも利用可能です。
Spotify自体は現在、日本国内で聴けないわけではないのですが、登録の際とその後2週間ごとにサービス対象国からのログインが必要になります(プレミアム登録だとこれはなくなります)。うーん、早く日本でも正式にサービスが始まればいいのにねぇ。
Apple Music
サービス開始を指折り数えて待ち望んでいたApple Music。家族で利用する気満々だったのですが、なんとわたしの古いMacには対応していませんでした。わたしがApple Musicを諦めた理由はこれ。そしてちょっと古めのWindowsでもiTunesは負荷が大きいし、売りのひとつだった「Beats 1」は聴けない、ビデオは再生できない、現時点でandroid版も使えない。当時の自分の環境に問題はあったのはもちろんだけど、Apple贔屓のわたしでも登録する選択肢がありませんでした。
お試し期間をフルに利用して家族のiMacで使ってみた率直な感想は、聴きたい曲は割とそろっていて、そりゃーこれに登録すれば楽しいだろう、と。好みの曲が多ければ、もちろんラジオ機能も楽しく使えますしね。唯一気になったのは、たまに音質が今ひとつのものがあることくらいか……。
いろいろと物議を醸していたファイルが入れ替わってしまう問題も少しずつ改善されているようなので、ちゃんとしたAndroid用アプリができたらぜひ再度お試ししてみたいですね。
Amazon Music
年額3,900円のAmazonプライムのサービスのひとつ。無料版はないけれどAmazon Music自体もオマケ扱いというちょっと微妙な立ち位置のサービスですが、これが意外と侮れません。Amazon Musicだけを目的で契約するのはおすすめしないけど、Amazonでよく買い物する人であれば、月300円ちょっとをプラスしてビデオを見たり音楽を聞いたりすると考えると十分すぎる内容ではないかと思います。
Amazon Musicにもラジオ、ステーションと名のつくサービスはありますが、曲やアーティストを起点にして曲を流す機能はなく、ジャンルごとになっているようです。ただ曲が流れているときにそれが好みかどうかを知らせることで、より好みに近い曲が流れやすくなる機能はちゃんとついています。
Amazon Musicはブラウザからも利用できますが、スマホでもパソコンでも専用のアプリを利用したほうが便利ですね。
インターネットラジオ
次にラジオ機能に特化したアプリを集めてみました。どれもプレミアムプランがあるけれど、無料でも十分快適に使えるのがありがたいです。
iHeartRadio
アメリカでのユーザーが3000万人を超えるという人気ストリーミングサービス。
既存のラジオ局が聴けるだけでなく、好みのアーティストを起点としたステーションを作成することができます。
日本からだと初回だけ登録(名前などは不要)がうまく行けば、後はVPNのお世話になる必要がないので、聴取にストレスがありません。選曲もツボをついてて快適。音楽を流しっぱなしにしたいときに大活躍します。
Android、iPhone、iPadは専用アプリがあります。Windows、Macではブラウザから利用できます
Pandora Internet Radio
こちらも登録者数2億人と言われる超人気ラジオ。
Pandra Radioも好みのアーティストを起点としたラジオが作れるんですが、流れる曲に対して好きか嫌いかを教えることで、どんどん選曲が自分向きに鍛えられていきます。この精度が素晴らしい!
似たタイプのサービスは他にもありますが、Pandoraは曲のプロファイリングが相当緻密なようで、「これも好きな曲、これも! その次も!」といった具合で、聴いているときの心地よさは群を抜いているんじゃないかと思います。
欠点はサービス対象国(アメリカのみ?)内からのアクセスであることを頻繁に確認されること。国外での利用だとこれが面倒で、長時間使い続けるにはちょっとストレスがあります。無料で使えますが、普通のラジオを聴くのと似た感じでCMが入ります。
AndroidやiOSには専用アプリがあります。Windows、Macではブラウザ経由で聴けるようですが、うちの環境からは成功していません。
Jango Radio
Pandoraと似たタイプのサービス。曲が流れてきたときに好みか好みでないかを示すことでだんだんと精度が高まっていきます。
CMが入りますが、無料で聞くことができます。
個人的な印象ではアプリの使い勝手がいまひとつ? 流れてくる曲もPandoraの方が面白く感じるのだけど、その代わり日本からでも問題なく聴けるのがありがたい! 長時間流しっぱなしにとても便利です。Pandoraを使ってみたいけど敷居が高いという方におすすめしたいアプリです。
PCRADIO
ロシア発の無料インターネットラジオ。スマホのインターネットラジオアプリというと機能の充実している「TuneIn Radio」が有名だと思うんですが、アーティストごとの専用ステーション「Discograhy」が好きなのとアプリが使いやすいこと、広告が鬱陶しくないことからこちらを推します。
音質は正直良くないステーションが多いですが、軽いのが魅力です。
Android、iOS、Windowsには専用アプリがあります(Mac版は見つかりませんでした)。ただ、Windows版アプリを落としてみたら、完全に文字化けしてしまっていました。それなりに機能はありそうだけど、使いこなすのには骨が折れるのではないでしょうか。
WindowsやMacからブラウザを介して利用することもできるけど、広告をブロックするアドオンを切らないと怒られます。しかし何よりサイトがロシア語なんですよね~。検索は普通のアルファベットでも通るので全然使えるけれど、素直に英語化されているスマホ用アプリを使うのが吉のようです。
Spotify等を日本で聴く方法
さて、こうしたサービスを対応している国内で利用するなら話は簡単なんですが、上記の中でSpotify、iHeartRadio、Pandoraはいずれも日本から利用しようとすると弾かれてしまいますね。
アプリをダウンロードしようにも、Google Play ストアで検索しても出てこないか、未対応の表示になってダウンロードすることができません。
日本に居ながらにしてこれを回避し、アプリの入手とサービスへの登録を行うためにはVPNを利用するのが一般的。いろいろな方法があるのでしょうが、VPNを使ってサービス提供国(多くの場合アメリカ)のIPに変更した上でアメリカGoogleアカウントを取得し(当該国の住所が必要です)、Playストアからアプリをダウンロードする……といった手順でしょうか。
IPを変更するためのツールで有名なものは次の2つです。
IPを変更して対応国外でサービスを利用するのは違反だとする意見もあるようなので(実際に罰せられるなどということはないでしょうが)、もし試してみたい方がいらっしゃいましたら自己責任にてお願い致します。