コンタクトレンズがすごいのは、ある程度視力がコントロールできてしまうところ。これ、目が悪い人間にとってはありがたいことでもあり、同時にとても怖いことでもあります。
自分の目に合うコンタクトレンズを使っているならいいけれど、もし度数の合っていないことに気づかずに使い続けていたら?
今回は合わないレンズを2年間使い続けていたわたしの実体験をお話します。【2016年4月18日加筆】
度数が強すぎると近くが見えない
「ご注文のコンタクトレンズ、届いてますよ」との連絡をいただいて、昨日、眼科に行ってきました。
で、新しいレンズを早速装着してみたところ……。
笑っちゃいました。だって、近くがとてもよく見えるんだもの。
コンタクトレンズって、使い続けている間に目に見えない小さな傷がたくさんつくんだそう。だから前のと同じ度数でも、レンズを新しくしただけでかなりよく見えるようになるとは聞いていたんですが、さすが今回のは「近くがよく見えるように」という意図で合わせたレンズです。
近くがよく見えるレンズ。つまり度数を緩くしたレンズです。
実は以前のコンタクトレンズ、遠くは1.0~1.2程度見えていたのに対して、近くが0.4しか見えていませんでした……。度数が強すぎたんです。
前回のレンズを作ったとき、遠くを見たときの見え方ばかりに意識が行って、手元の見え方の違和感を無視してしまったのが原因でした。
0.4って。道理でディスプレイの文字が見えにくかったはずです。
間抜けなことに、「なにかおかしい」と思いながら、レンズの度数が強すぎることにずっと気づいていませんでした。
もちろん「度が強いな」とは思ってたんですが、むしろ「視力が落ちたんだな」という方向にしか意識が向いていなかったんです。
そのことについては、特に深刻には考えていませんでした。
擬似的な遠視状態で過ごしたわたしの2年間って一体……。
すでにあった違和感
前のレンズ、すごくよく見えてたんです。手元以外は。
実はわたし、小さな頃から目が悪くて、メガネでは0.6~0.8程度までしか視力が出ません。いわゆる牛乳瓶の底のメガネでして、しかもメガネの中心部分から離れれば離れるほど像がゆがむので、メガネで外を歩いたり車の運転をしたりはほとんどすることがありません。
ところがコンタクトレンズをつけたら……。
そこにあるべき山が見え、通りを挟んだ向かい側の木々の葉が立体的な緑に見える!
子供のころ、初めてメガネをかけて自分の手のひらを見たとき、そこにたくさんの細かいしわがあることに気がついてすごく驚いた、あのときの衝撃にとてもよく似ていました。
その前に持っていたレンズと比べて近くが見えにくいと一瞬思ったけれど、そんなことはどうでも良くなりました。
遠くの景色がこんなにくっきりと色鮮やかに見える!
もうホクホクでした。
わたしの生活は、遠くを見る時間より近くを見る時間のほうが長いこと、完全に頭から抜け落ちていたんです。
老眼だと思っていた2年間
でもその代償は小さなものではありませんでした。
近視って元々近くはよく見えるので、わたしみたいな強度の近視でも、10センチの至近距離ならけっこうはっきり文字が読めたりするのです。けどコンタクトをした状態だと、小さな文字は近くも遠くも見えないというおかしなことになっていました。
文字を読むときにピントが合わないというのは、多分仕事に支障が出るまでには至らなかったとは思うものの、疲れ目や肩凝り、頭痛の酷さを引き起こしました。肩凝りや頭痛を抑えるために、鎮痛剤を週に3日くらい飲んでいました。
でもそんな状態になっても、レンズの度数が強すぎるということに思い至っていませんでした。近くが見えにくいのは老眼なのかも、と思ってたんです。
問題があるのはのはわたしの目のほう。そしてそれが恥ずかしかったので、眼科はもちろん周囲の人にも全く相談せず、しかたのないことだと思っていました。
レンズの度数が合ってなかった!
結局レンズが強すぎたのが分かったのは、そのレンズを作ってから2年経った後のこと。
レンズを新調すべく眼科に行って、その際に「近くが見えにくいのは老眼ですかね」なんてことをちらりと言ったことがきっかけで、全てが明らかになりました。
幸か不幸か、老眼ではありませんでした(裸眼だと近くがよく見えるところで気づくべきでした)。
……もう100%自分が悪いのはわかってるんですよ。
「なんだか手元が見えにくい」という思いがちらりとよぎったとき、それを担当者にそのまま伝えていたらこんなことにはならなかったのに。
でも担当してくれた方が、例えば「手元が見えにくいと日常生活で困るかもしれませんよ」「慎重に考えてくださいね」とあのとき声を掛けてくれてたら、なんてこともちらっと考えてしまいます。
レンズを決めるとき、「この見え方とこの見え方、どちらがいいですか?」と訊かれてどちらにも一長一短があったとき、その場で正しい判断を下すのってとても難しいです。そんなときに、メリットとかデメリットなどをちょっとアドバイスしてくれてたら、ユーザーとしてはすごく助かるんですけどね。
度数を下げたレンズをつけてみて
さて、今新しく作ったレンズをつけた状態でこれを打ってるんですが、ディスプレイを見ているとものすごい勢いで視界に文字が飛び込んで来るんで、なんだか頭が痛くなってきます。その上、ついには吐き気がしてきてくるという始末。近くの見え方がこんなに違うとは。
うーん、近くが見えればすべてが解決というわけにはならないようで、なかなか難しいものですね。
それに緩い度数にすれば疲れ目も緩和されるのかと思っていましたが、この状態だとそれがうまくいくのかどうかは不明です。
しかも度が緩くなっている分、当然ながら遠くが見えにくい、ということになります。
うーむ、これ、大丈夫なのか……?
実際には今回のコンタクトレンズ、遠くが0.8~0.9程度、近くが1.0に合わせてあるそうです。
これまで0.4だった視力が1.0になれば、そりゃあ頭は混乱しちゃいますね。
それとてっきり前の度数より1段階ずつ緩くしただけかと思っていましたが、左は-9.5から-9.0に、右は-9.0から-8.0に変えているとのこと。つまり左右のバランスも若干変わっています。
室内で過ごすことが多いことを考えると、この視力でも一見それほど悪くはない気もしますが、0.8だと車の運転はちょっと不安ですね。一般的には十分な視力ですが、何せこれまでと見え方が違いすぎて。
すぐには慣れることができないようで、肩とか背中とかがパキパキになってきます。
お試し期間を上手に活用して
とりあえず、今から少しの間はお試し期間が設けられていて、1~2週間したらもう一度検査を受け、問題があればそこで交換してもらえるそうです。
前も同じ医院でコンタクト作ったのに、当時このシステムなかったような気がします。
この数日でよく考えて、絶対に後悔しないようにしたいですね。頭痛や肩こりもだけど、視力低下を招いたりしたら後悔してもしきれません。
それにしてもつくづく思ったのは、コンタクトレンズってすごいな、ってこと。
上限はあるにせよ、ここまで自在に視力をコントロールできるとは……。
もちろんすごく便利なものだし、これがあるおかげでめちゃくちゃ助かっているんですけどね。
後日談
上記の記事は2010年に書かれたものでしたが、未だにアクセスをいただくみたいなので、少し加筆します。
当時はハードコンタクトレンズを使用していましたが、その後目の痛みに悩まされるようになり、現在は使い捨てのソフトレンズを使用しています。
記事の中では左-9.5、右-9.0のハードレンズで近くがよく見えないため度数を下げたわけですが、現在ソフトで左-9.5、右-8.5のレンズを使っていてちょうどいい状態です。これは同じコンタクトレンズでもハードとソフトでは全く見え方が違うのがよくわかる例かもしれません。
あれほど悩まされた頭痛や肩凝りがきれいになくなったのは、やっぱりその原因がコンタクトレンズにあったことを物語っています。
そして今回の記事では眼科でレンズを購入してもこうなってしまったわけで、ネットで購入する際には、思い込みからさらに度数選びを間違う危険性は高いと思います。
コンタクトの視力の出方は眼鏡とは違いますし、例えば「0.4だからこの度数」などとは一概には言えません。乱視があればなおさらです。
ネットでコンタクトレンズを購入するのは決して悪いことではないと思うんです。なによりコストが違います。
でも大事なのは、必ず何回かに1度は目の検査を受けること。そして度数が本当に合っているのかを確認すること。この2つをクリアしていないのなら、ネットで購入するのはリスクが大きいなと思います。
遠くが見えないのも不便ですが、近くが見えないと本当に大変。目は大切に、コンタクトレンズの使い方も、度数も正しくが鉄則ですよ!