フィギュアスケートに限らず、「審判が評価したものが一番すぐれている」という人がいます。
そういう考え方も、もちろんできるでしょう。
でも、「専門家が評価したことに対して文句を言うな」という意見には到底同意できません。
「間違っているものは間違っている」「わたしにはこう思える」と言って、何がいけないんでしょうか。
観客はよくわかっています。
良いものは良い、美しいものを美しいと思う気持ちは誰にも止められないです。
今後、ジャッジシステムが変わるたび、ジャッジに愛される選手も変わるでしょう。
でも、観客に愛される選手、愛される演技は、きっと次の100年が終わったときにも残り続けるものだと思います。
100回目の世界選手権を迎えたこのシーズン、見る者に愛され、そしてこれからも愛され続ける演技はどの演技だったでしょうか。
このシーズンの採点を正当化したいのなら、観客が目視で回転不足と判定できるジャンプに+2の加点がついたり、転倒して-3の評価が正当なところに-2がついたりする理由から説明しないといけないです。
さらには、途中やる気をなくした動作が目立つ演技でアクション系の主人公を演じ、それが曲の解釈で最高評価になってしまうといったようなことが起こり得る原因についても説明しなきゃいけないです。
また、当日の演技ではなく、前日の練習の状況を得点に加味するジャッジが実際にいることについてもオープンにするべきです。
(それが許されているという点には納得できませんが、少なくとも、得点のある種の説明にはなります。)
ジャッジに関しては、中には選手個人の評価をマスコミにペラペラしゃべったり、観客に対して「採点に口出しするな」といったような発言をするジャッジもいるようで、こういった事実にも驚いてしまいます。
真面目なジャッジもたくさんいるのでしょうが、中には何か勘違いしてしまっている人もいるんですね。
スポーツにおいてジャッジは確かに大きな役割を担っていますし、中にはジャッジが歴史を作ってしまうようなこともあります。でも、
「ジャッジが主役ではない、主役は選手たち」
なんです。
これを忘れちゃいけない。
それと、今回の世界選手権で気になったことをもうひとつ。
わたしは今回、インターネットで生中継を見ていたんですが、その後フジテレビの録画放送を見たときにものすごく違和感があったんです。
フジテレビのスポーツ中継は報道ではなくエンタメの分野であるというのは承知していますので、多少のショーアップの部分があるのはアリだと思います(わたしは大嫌いですが)。
でも……。
観客の歓声のボリュームがおかしい。
拍手、手拍子がおかしい。
どこで音声を拾っているかでも音は当然違うと思うのですが、事前にストリーミングでコメンテーターなどの声が入らない会場音を聞いていたので、フジテレビの放送にはびっくりしてしまいました。
多分、フジテレビの放送だけで今回の世界選手権に触れた方には、トリノの会場にいたお客さんの反応の異様さは、ほとんど伝わらなかったんじゃないかと思います。
これが残念でたまりません。
以前、他の放送局の格闘技系の中継で、これと全く同じものを目にしたことがありました。
こういう手法がテレビではとてもよく行われているのだとしたら……。
なんだかゾッとします。
浅田真央選手。
本当にショート、フリー通じて素晴らしい演技でした!
「鐘」、あの暴れ馬をとうとう手懐けて乗りこなしましたね。
「仮面舞踏会」も「鐘」も、わたしはこの先、何度も繰り返して見ることになると思います。
本当に、優勝してくれてありがとう!
鈴木明子選手。
今シーズンは連戦で、まずは「お疲れ様」と声を掛けてあげたいです。
今シーズンはフリーの人気が高かったですし、世界選手権でも逆襲のウェストサイドストーリーとなりました。
でも実はわたしは選曲を含めショートが好きでした。だってなんか粋なんだもん。
オフシーズン、まずは一旦体を休めて、わたしたちは来シーズンの新しいプログラムを楽しみに待ちたいと思います。
素敵な演技をありがとうございました!
コストナー選手。
フリーの演技を見て泣きました。
今シーズン、特にジャンプでとても苦しんでいたので、フリーで3-3のコンビネーションを成功したときには本当に嬉しかったです。
彼女の清潔感のある演技と軽やかなステップが大好き。
来シーズン、彼女にとって楽しめるシーズンになるよう、祈っています。
Forza Carolina, sempre con te!!
ミライ選手。
下を向く必要はないです。
今シーズンはいろいろと翻弄されるシーズンになってしまい、きっと想像以上に大変だったと思います。
でも、この経験は絶対に来シーズンの糧になるはず。
明るいキャラクターのままに、大人っぽさを少しだけ加味したミライ選手が来シーズンも見られるのを、今から楽しみにしています!
セベ姐さん。
この世界選手権がラストだと聞いてました。
もし本当なら悲しいです。
彼女の高いジャンプ、大好きです。貶められて良い選手ではないです。
もっともっと彼女の演技を見たいです。
そして最後に美姫選手。
素晴らしい頑張りだったと思います。
わたしには、あなたがオリンピックの銅メダル、そして世界選手権の銀メダルでした。
美姫ちゃんのためにも、今のジャッジングシステムが改善されることを、心から祈ります。
モロゾフコーチ、言いたいことは山ほどありますが、どうか美姫ちゃんのことをよろしくお願いします。
コメント
■まさに!
もうまさに その通りです!全部。ていうか 思いのまま書いたら今回のブログ5回分位 あることでしょう。。。
褒められたものでは無いでしょうが、とある番組の五輪のジャッジ盗撮なんかでも オモシロイものが見れましたよね。安藤さんあんなに完璧だったのに・・・本当に泣かされましたよね。。。
選手のコメントも皆なにか言いたいのが感じられました。それと、表彰台に欧州枠が欲しかったのなら、何故 地元のコスじゃなかったのでしょうか・・・
■Re:まさに!
>鳳凰さん
行間まで読んでいただいて感謝です!
そうですね…怒りなのか悲しみなのか、自分でもいろいろな感情があってよくわからないです。
真央ちゃんの優勝は嬉しかった。でも手放しで喜べない複雑な感情もあります。それはきっと真央ちゃん本人も、他のフィギュアスケートファンも、同じだと思います。
わたしも、何でコストナーではなくレピストだったのか、よくわかりません。コストナーも決して完璧ではなかったですが、スケ連の力関係なんでしょうか…。
レピストは元々好きな選手で今シーズンのSPも大好きなんです。だからこそ余計複雑です。